星宮いちごとポケットの中の帝政ローマ
今回は煙草のメリットについて書くはずだったが、筆が乗らないため別の話題で書いていく。メリットについては記事としてまとまり次第投稿しようと思う。
ガイウス・ユリウス・カエサルをご存知だろうか。
勿論名前を知らない人はいないだろう。
「ブルータス、お前もか」の人である。
だが彼が一体歴史上何をした人物なのかまでは知らない人もいるかもしれない。
本題に入る前にまずは彼の話をしよう。
今から2100年以上前に貴族の家に産まれたカエサルは、民衆を基盤とする民衆派と元老院を基盤とする閥族派の対立で混乱するローマで幼少期を過ごした。
カエサルは異例の若さで神官職である神祇官となるが、同年閥族派の中心人物であるスッラが終身独裁官に任命され対立する民衆派を粛清し始めたため、民衆派に極めて近い家柄であったため彼が亡くなるまで亡命することになった。
スッラが亡くなりローマに戻った彼は軍団司令官に、数年後には財務官に就任する。
この時亡き民衆派中心人物マリウスの像を掲げ彼は自らが民衆派であることを表明している。
その後出世を続けるカエサルは上級按察官を経て最高神祇官となり、執政官に当選する。
この時彼が元老院と対等に戦うためにとった方法がかの有名な第一回三頭政治である。
このあとも彼は出世を続け、ファラオになったり終身独裁官になったりするのだが、本記事に置いて取り上げたいのは三頭政治の頃におけるカエサルなので割愛する。
本題に入ろう。
オタクがこういった流れで持論を展開する際は、お決まりのように対象のキャラクターに照らし合わせていくのが筋であることは皆さんご存知だろう。
今回も勿論そのつもりである。
尊敬する歴史上の人物は誰、という問は時としてよく見られるものである。
では星宮いちごにこの質問をぶつけてみた時、どう言った答えが返ってくるだろうか。
ガイウス・ユリウス・カエサル、と答えてくれれば勿論この記事は円滑に進んでいくのだが、残念ながら星宮いちごに世界史に関する知識があるような描写は見られない。
しかし彼女の考え方や行動は一時期のユリウス・カエサルそのものなのである。
さて、アイカツ界というのはローマである。
勿論たとえではあるが、アイカツ界全体を見た時にその動きを表現するに最もふさわしいのはローマなのである。
かつて王政であったローマは共和政を経て帝政へと移行した。この動きはそのままアイカツ界へと当てはめることが出来る。
まず王政ローマについて。
王の独断に民衆がついていけなくなることで崩壊を迎えたこの時代、アイカツ!2期から3期への移行期と照らし合わせると合点が行く。かつてアイカツ界の頂点に君臨した神崎美月は自らが新たなものを得るためにスターライト学園を辞めた。この時点での神崎美月は王政ローマにおけるまさに王である。たった一人孤独で頂点に立ち続ける彼女に追随する存在はいなかった。星宮いちごは所詮2番目であり、彼女を転覆させるに至る存在ではなかったからである。
だが転機が訪れる。
100話「夢へのツバサ」である。
2wingsの勝利によりアイカツ界の頂点に神崎美月が君臨し続ける王政は崩壊し、神崎への勝利を手にした2wingsの星宮と未だアイカツランキング1位の神崎による2人で統治していくこととなる。これは執政官が毎年2人選ばれていた共和政ローマに照らし合わせることが出来る。
多くの仲間の中でその実力を得て選出された星宮いちごと、独立した特別な立ち位置にある絶対的な力を持つトップアイドル神崎美月をそれぞれ民衆派と元老院としてみることはそう難しいことではないだろう。
ちなみに共和政という点ではドリームアカデミーとスターライトの2つのアイドル学校を執政官として見ることも出来るが、星宮単独に焦点を当てていきたいため割愛する。
共和政に移行したアイカツ界は大きな対立構造を見せないままに3期が進んでいく。民衆派のそれぞれが切磋琢磨しその頂点を目指す形である。
だがこの共和制に終止符を打つ事件が発生する。
大スター宮いちご祭りである。
このステージにより神崎美月はトップから陥落。夏樹みくるの引退により神崎美月しかいなかった元老院は当然崩壊し、孤立した神崎は星宮を追いかけるという形で民衆派へと吸収される。ちなみにこの敗北により神崎がそのまま引退していたら死という言葉を使えたのだが、ポンペイウスのように死ぬことは無かった点が女児アニメである。別に死という単語が使いたい訳では無い。
元老院神崎美月を倒し、アイカツ界において完全に頂点へと上り詰めた民衆派星宮はその支持を得たまま終身独裁官へと就任する。アイカツ界を他のアイドルの指示を集めつつ成長し統治するに至った星宮はかくしてガイウス・ユリウス・カエサルへとなったのである。
ここで注意しておきたいのが、勿論全てにおいて星宮いちごがガイウス・ユリウス・カエサルではないということである。別に星宮いちごはハゲていなければ借金王でもない。女たらしかどうかは諸説あるが、何も歴史上の人物を尊敬するにあたってその人物の悪いところまで尊敬する人はいないだろう。
星宮の民衆の支持を集めたまま頂点へと上り詰める姿勢。あからさまな頂点が存在しない共和政において穏便に頂点を取るというのはそう簡単に出来ることではない。同じライバルである周りに応援されて頂点に立つというのは、それまで誰もしてこなかったアイカツをしてきた彼女にしか成し得なかったことなのである。もっとも彼女はこれらを意識してやっていた訳では無いだろうが。
さて、アイカツ喫煙部らしい話をしよう。
マールボロの旧パッケージをご存知だろうか。
2015年に改定される前のパッケージはこのようなものだった。
この中心のロゴの文字、見えるだろうか。
VENI VIDI VICI
とある。
これはラテン語で「見た 来た 勝った」と訳される、ゼラの戦いにおけるガイウス・ユリウス・カエサルの有名な言葉の一つだ。
煙草の話になるとどうしてもオタクの妄想垂れ流しタイムになってしまうのだが、アイカツ界に革命を齎した星宮いちごがその胸中にカエサルを宿していたならポケットの中にこの文言をねじ込んでいて欲しいものだろう。
たとえ彼女が意識していなかったとしても、彼女はアイカツの新時代築いた者のして、この煙草の意思に引き寄せられるべきなのである。
従来のアイカツ界を転覆させ、あかりジェネレーションへと新たな帝政ローマの礎を築いた星宮いちご。
その意思を煙草で表すならば。
星宮いちごは赤マルを吸っている。
斯くして星宮いちご赤マル派論はまたしてもこのような雑な結論を得ることとなった。
赤マル吸ってて欲しいだけとも言うかもしれないが、そもそもここの記事は全て僕の願望を屁理屈で押し通しているだけなので今更弁明するつもりは無い。
本当にカエサルの歴史を書く必要があったのかと言うと疑問は残るが、文字を打っている間は武道館までの日数のことを忘れられるので許して頂きたい。
段々怪文書の内容が酷いものとなってきているが、武道館まであと2週間弱お付き合い願おう。
ドトールのコーヒーが冷めたので今回はここまでにする。
星宮いちごと慢性閉塞性肺疾患
アイドルが煙草を吸って大丈夫なのか。
僕は、星宮いちごは喫煙者であると主張している。
しかし今更ではあるが、煙草が彼女に与える影響は必ずしもプラスのものだけとは限らないということを見落としていたことに気付いてしまったのだ。
寧ろ何故、健康被害を引き起こす物として世間で最も一般的な煙草の負の影響を考慮していなかったのか。脳機能の欠落を疑う。
なので今回は星宮いちごの喫煙がアイカツに与える負の影響について考えていこうと思う。自身への喫煙による健康被害については虚無になるため割愛する。
今回述べる内容は大きく二つに分けられる。
短期的に見た影響と長期的に見た影響である。
まずは前者。
これには体力の低下や喉の乾燥による発声への問題が挙げられる。
確かにこれがそのままステージに影響したら彼女のアイカツにおいて大問題だろう。
だが、考えてみてほしい。
実際我々は、歌手を歌声だけで喫煙者か非喫煙者を判別することができるだろうか。
プロ野球選手をプレーだけで喫煙者か非喫煙者を判別することができるだろうか。
まず無理だろう。
彼らはその影響を補うだけの何らかの努力をしているのだから。
故にこの問題は努力によって解決することが可能だといえる。
喫煙による即時的な問題は比較的影響が小さい分、応急処置で対応できてしまうのだ。
問題は後者、長期的に見た場合の健康被害である。
ここでは喫煙による病気に関して述べていく。
喫煙が主な原因とされる病気にはまず肺癌と慢性閉塞性肺疾患が挙げられるだろう。
肺癌はともかく、慢性閉塞性肺疾患については聞いたことがない人もいるかもしれないが、慢性閉塞性肺疾患とはCOPDと略されることもある病気で、従来は肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていた病気の総称である。世界においてこの病気は癌、心疾患、脳血管障害に次ぐ4位となっており、喫煙者の15%~20%は発症するといわれている。
勿論これらが発症し悪化した場合にステージに立つことはほぼ不可能である。
呼吸困難等の歌やダンスに対して直接の障害となる症状が現れるのだ。当然だろう。
だがこの二つには喫煙者星宮にとっては朗報となる共通点がある。
発症者の殆どが高齢者であるということだ。
どちらも初期症状の段階では発見が困難であるくらいに影響が出ない。
つまり星宮は高齢者になるまでは他に問題さえなければステージに立つことが可能だということである。
普通のアイドルならばそれで十分問題はなかっただろう。
普通のアイドルならば発症し悪化する頃には引退している。
だが、星宮に関してはそうではないのだ。
星宮には夢がある。
「おばあちゃんになってもSoleilを続ける」
これは彼女一人の夢ではない。霧矢と紫吹の夢でもある。
星宮は夢を叶えなければならない。
にも関わらず喫煙者星宮はおばあちゃんになるまでに肺癌とCOPDを併発し、歌やダンスはおろか最悪死に至っている可能性が出てきたのだ。
ちなみに肺癌とCOPDを併発した場合、肺がんCT認定機構前代表理事の長尾啓一先生の研究によると併発した78例の患者の生存期間中央値は僅か6ヵ月である。
とはいえおばあちゃんになるまでに死なれてしまっては為す術もなく残された霧矢と紫吹が可哀想なので、少なくともおばあちゃんになるまでは生きている星宮を想定しよう。
初期段階では完治してしまう肺癌ではなく、現在の医療では完治することが不可能だとされているCOPDを発症し、既にII期へと進行している場合を最悪のケースとして設定する。
COPDは初期症状が僅かなため発症段階では恐らく彼女のアイカツに影響は出ないだろう。しかしこれ以上進行した場合には咳嗽や喀痰、息切れや呼吸困難などの症状が目立って現れてくる。これらを抱えたままでは彼女はステージに立つことはまず不可能である。
結局星宮いちごはこの病に向き合わずにステージに立ち続けることはできないのだ。
さて、それでも夢を叶えねばならない彼女には二つの選択肢が残される。
一つは禁煙である。
アイカツ喫煙部が一体何を言っているのかという話ではあるが、あくまでも星宮にとって喫煙は手段の一つに過ぎないということを思い出して欲しい。
喫煙は確かに彼女を成長させるかもしれない。
だが彼女を成長させるのに煙草が必須だったかというと当然そんなことはないのだ。
じゃあ初めから別に吸わなくていいのではという話ではあるのだが、ここでは星宮が喫煙者であることが前提なので彼女は数ある選択肢の中から煙草を選んだということにさせてもらう。
彼女が煙草を選んだ理由についての考察、もとい想像は今後の記事で述べることにして今回は割愛する。
II期中等症時点で星宮が禁煙し、治療していれば完治はできなくとも活動することは可能だろう。実際歌手の和田アキ子はCOPDを発症しているが、禁煙・治療することで完治はしていないものの現在も歌手として活動を続けられている。
星宮も以前のように踊ることは困難かもしれないが、125話で紫吹が述べている通りそもそも病気などなくとも「踊れなくなっているかもしれない」のだ。
ファンも流石に高齢の3人に激しいダンスまでは要求しないだろう。
さて、二つ目の選択肢はステージを降りるというものである。
CMや映画への出演、モデル等も立派なアイカツである。
勿論どの仕事も決して簡単なものではないが、ステージと違ってこれらの仕事に関わる他の人間の手を借りることが可能という点で現実的ではないだろうか。
そもそも高齢の3人に激しい動きを要求することはないだろう。
それでいいのかという疑問は少なからず残ってしまうが、選択肢の一つであることに間違いはない。
余談だがどちらの選択肢を選んだとしてもその夢の結末自体には大きな差は現れない。
上の選択肢どころか、そもそも星宮が非喫煙者であっても関係ないかもしれない。
先程述べたのは星宮の引退を引き伸ばす方法ではない。
星宮いちごには、Soleilにはそもそも引退という選択肢がない。
最後、つまり死ぬまでSoleilであり続けるための方法である。
彼女たちの夢の終点は死に設定されている。
おばあちゃんになっても続けるということはつまり、おばあちゃんの次のステップである死に到達するまでは終わらないということでもある。
おばあちゃんと呼べる年齢になって三人で「おばあちゃんになっても続けられている」と話す機会があるかもしれない。だがそれはまだ夢の途中でしかないのだ。
まだおばあちゃんなのにSoleilをやめるわけにはいかない。
限界などというのはSoleilにはあってはならないだろう。
夢を叶えるためにはたとえ何歳になろうともSoleilであり続ける必要がある。
故にその過程は違えど、三人が同じ夢を持ち続けている限りその夢の結末はどのような選択をしようと変わらない。
だいぶ重い余談になってしまったので最後に話を戻して今回は〆ようと思う。
喫煙者星宮いちごは恐らくしばらくはその負の影響を実感することはないだろう。
或いは彼女なら少しの影響が出たとしても努力で乗り越えられるはずだ。
しかし、いつかは決断を迫られる事になるかもしれない。
非喫煙者なら経験する必要のなかった壁にぶち当たる日が来るかもしれない。
間違いなく煙草は彼女のアイカツに対して負の影響を与えることになるだろう。
だが、星宮ならその壁すらも成長の糧としていくのではないだろうか。
「挑戦はチャンス。失敗だって前進」
アイドルが煙草を吸って大丈夫なのか。
残念だが本記事ではそれに対する答えを用意出来ない。肺を蝕み、確実に病気へと歩みを進める煙草、このままでは決していいとは言えないだろう。
しかし、アイドル星宮いちごが果たしてただ体に悪いだけのものを喫煙所での会話から何かを得るためとはいえ取り入れるだろうか。
煙草によって自らに壁を与え、それを乗り越えることで確かに彼女は成長できるかもしれないが、努力の方法としては大変回りくどく効率が悪い。
では星宮いちごが数ある選択肢の中から喫煙という手段をとった理由はなんなのか。
喫煙肯定派としてはここで終える訳には行かないので、次回は煙草のメリットについて書こうと思う。
アイカツ喫煙部
はじめまして、アイカツ喫煙部の筋肉ラーメンです。
という自己紹介の時点で疑問を覚える人が大半ではないだろうか。
女児向けアニメであるアイカツ!と、成人にしか許されていない煙草。
一体何の関係があるのか。
勿論、女児向けのアニメであるアイカツ!に喫煙描写など一切ない。
つまりこれは僕の脳内におけるアイカツ!である。
オタクの妄想や自分語りが苦手な方、
煙草の話自体が不快なくらいの嫌煙家の方、
自分の中にあるアイドル像と異なる事に不快感を覚える方などは読まないほうがいいかもしれない。
ここまで我慢して読んでくれてありがとう。
さて、本題に入ろう。
今回は初めての記事ということでこの全くの無関係に見える二つの関係についての僕の考えを説明していきたい。
アイカツとは知っての通りアイドル活動の略であり、バンダイの女児向けアーケードゲームの名称であり、テレビアニメである。
本記事では作品・ゲームについて述べる際には「アイカツ!」、アイドル活動のことを指す場合には「アイカツ」と区別して書いていく。
歌にダンスは勿論のこと、木を斧で切り倒し、崖をよじ登り、シャチと仲良くなるのもアイカツである。
別に斧や崖を使って筋トレをしていたわけでもシャチでバランス感覚を養っているわけでもない。
では一体何故このような奇妙なアイカツを行っているのか。
星宮いちごを例に挙げて考えていこう。
アイカツ!を視聴している際、星宮いちごを見て皆一度はこう思ったことがあるのではないだろうか。
「天才」「主人公補正」
僕もそう思って見ていた一人だ。
天才だから、主人公だから、星宮いちごは強い。
だから女児たちの感情移入の対象である主人公星宮が、何一つ成し遂げることなくそのアイドル人生を終えるようなことがあってはならないだろう。
女児たちの期待を背負い、普通の中学生だった彼女がトップアイドルへと昇り詰める。
最初に掲げた大きな目標を長い時間をかけて達成する、非常に良い。完璧である。
しかし捻くれた僕は思う。
主人公補正を持った天才アイドルが頂点に立つだけの物語に178話も必要だろうか。
ただの中学生が契約して魔法少女になる話ですらたった12話で世界を救うのだ。
その10倍以上も何を語ることがあるというのか。
17話「ドッキドキ!スペシャルライブPART2」で星宮は憧れのトップアイドル神崎美月と共にライブを行う。天才ならばここで失敗などせず2人でユニットでも組んでいればいい終わりになったのではないだろうか。二人でトップアイドルユニットになりました、というのもいいエンディングだったのではないだろうか。
と、捻くれた主張を書き並べたものの勿論このアニメは17話では終わらない。
星宮いちごは結局17話では神崎美月に追い付くことができなかった。
失敗という壁と神崎の成長に結果としては差を広げられたのだ。
抜け殻のようになった彼女が涼川に話しかけられるシーンがある。
その際、突如生き生きとして彼女は語りだす。
「まだまだ足元にも及ばないけど、凄く努力しても追い付けないかもしれないけど、私もあんなふうになりたい。みんなに笑顔と夢を届けられるような本当のアイドルに。」
つまりアイカツ!は星宮がアイドル界の頂点に立つ物語ではなく本当のアイドルを目指す物語であり、残念ながら星宮は、神崎と比べるとだが、天才アイドルなどではなく努力型アイドルだったのだ。
僕の捻くれた主張は初めから意味を成していなかった。
このアニメが主人公星宮に求めているものは僕が想像していたものとそもそも違っていたのである。
さて、星宮にとっての本当のアイドルとは神崎美月、天才アイドルである。
これだけだと凡人が天才を上回る努力をして最後には勝つというよくある展開を予期させるが、残念ながら神崎美月はほかのどのアイドルよりも努力家である。
担当マネージャーの月影が「あれほどの特訓に耐え抜いたアイドルは見たことがない」と述べていることからもうかがえる。
つまり星宮は才能どころか努力の量ですら神崎を超えることができないということになる。
しかしこのストーリーは星宮が神崎に追い付くことでのみ一つの結末を迎えることができるのである。どうしても星宮は追い付かねばならない。
では一体星宮は何によって神崎に追い付いていくのか。
そこに斧や崖やシャチが出てくるのである。
神崎美月はあくまでもアイドルの天才である。
数学の天才でも語学の天才でもなく、アイドルの天才。
同様に星宮いちごはアイドルとしての才能で神崎に勝っているわけではないというだけであって、他の何かの天才なのかもしれない。
もはやここからは考察ではない。
星宮いちごは努力の天才なのではないだろうか。
神崎美月が天才ではない分野で才能によって彼女を上回る、これなら可能ではないか。
努力の天才とはまず第一に努力からの吸収率が挙げられる。
同じ努力をしていても他の人よりも上達が早い、ということである。
確かにこれなら神崎と同じ努力をしていればいつかは追い付けることになる。
実際星宮は編入試験のための努力だけでスペシャルアピールを出せる段階にまで成長している。もっともこれは星宮のアイドルとしての才能が神崎ではなくその他大勢のアイドルと比べた場合には秀でていたから、だとも勿論考えられるが。
第二に努力の方法である。
ここからが本記事において最も重要となる部分となる。
神崎はあくまでもアイドルとして想定されうる努力を最大限行っているに過ぎない。
つまり想定外の努力によってアイドルとしての伸びしろが表れた場合、神崎との差をそのまま縮めることができるのである。
神崎美月は斧で木を切り倒さないし、崖も登らず、勿論シャチにも乗っていない。
星宮は確実にこれらによって神崎との差を縮めていく。
とはいえ星宮のアイドルとしての天性の才能は、確かに神崎と比べると劣っているかもしれないが、その他大勢のアイドルと比べると天才の部類に入る。
96話においてジョニー別府もそう語っているので、星宮が天才だといわれていることに対して僕はそれを否定するつもりは全くない。
ここで述べたいのは星宮のアイドルとしての才能は神崎未満であること。
そして星宮は神崎がしていないことをして追い抜く、それだけの話である。
そろそろ煙草の話をしよう。
煙草というのは世界を広げてくれる一つのアイテムである。
喫煙所でしか聞けない話、喫煙所でしか作れない人脈。
喫煙者には非喫煙者の知らない世界が存在する。
煙草を吸うことで、吸ってなければ得られない経験を積むことができるのである。
やっている人とやってない人とで差がつく行為の一つなのである。
これを踏まえてアイカツ!のアイドルと煙草について述べていく。
ここで問題となってくるのは神崎ではなく勿論星宮のほうである。
神崎は完璧なアイドルになりたい。
起きている間はずっと、たとえ誰も見ていないところであっても彼女は完璧なアイドルであり続けようとする。
煙草はアイドルとしてのイメージを壊してしまうばかりかそもそも日本では法に触れるのである。
そんな行為をたとえ誰からも見られないとしても彼女がするとは考えられない。
完璧主義者の彼女がタバコを吸うことはないだろう。
さて、確かに星宮は神崎のようなアイドルを目指している。
しかしこの場合の神崎のようなアイドルとは結果を指しているのであってその過程ではない。先程述べた通り星宮は神崎と同じことをして追いかけていくわけではないからだ。
アイドルとしては想定外の行動こそが彼女の最大の糧となり成長の過程を作り上げているとするならば
斧・崖・シャチに煙草が加わっても全く違和感はない。
作中で星宮のすべてが語られているわけではない。
煙草の一本くらい語られていないうちの僅か数分で吸うことは可能だ。
プロデューサーでもカメラマンでも誰でもいい。
喫煙所での会話は彼女の力になる。
星宮いちごは喫煙者になる。
少なくとも僕の中では。
我ながら読み返す気の起こらない怪文書になった。
もしここまで読み切った方がいたら称賛と感謝の拍手を送りたい。