アイカツ喫煙部
はじめまして、アイカツ喫煙部の筋肉ラーメンです。
という自己紹介の時点で疑問を覚える人が大半ではないだろうか。
女児向けアニメであるアイカツ!と、成人にしか許されていない煙草。
一体何の関係があるのか。
勿論、女児向けのアニメであるアイカツ!に喫煙描写など一切ない。
つまりこれは僕の脳内におけるアイカツ!である。
オタクの妄想や自分語りが苦手な方、
煙草の話自体が不快なくらいの嫌煙家の方、
自分の中にあるアイドル像と異なる事に不快感を覚える方などは読まないほうがいいかもしれない。
ここまで我慢して読んでくれてありがとう。
さて、本題に入ろう。
今回は初めての記事ということでこの全くの無関係に見える二つの関係についての僕の考えを説明していきたい。
アイカツとは知っての通りアイドル活動の略であり、バンダイの女児向けアーケードゲームの名称であり、テレビアニメである。
本記事では作品・ゲームについて述べる際には「アイカツ!」、アイドル活動のことを指す場合には「アイカツ」と区別して書いていく。
歌にダンスは勿論のこと、木を斧で切り倒し、崖をよじ登り、シャチと仲良くなるのもアイカツである。
別に斧や崖を使って筋トレをしていたわけでもシャチでバランス感覚を養っているわけでもない。
では一体何故このような奇妙なアイカツを行っているのか。
星宮いちごを例に挙げて考えていこう。
アイカツ!を視聴している際、星宮いちごを見て皆一度はこう思ったことがあるのではないだろうか。
「天才」「主人公補正」
僕もそう思って見ていた一人だ。
天才だから、主人公だから、星宮いちごは強い。
だから女児たちの感情移入の対象である主人公星宮が、何一つ成し遂げることなくそのアイドル人生を終えるようなことがあってはならないだろう。
女児たちの期待を背負い、普通の中学生だった彼女がトップアイドルへと昇り詰める。
最初に掲げた大きな目標を長い時間をかけて達成する、非常に良い。完璧である。
しかし捻くれた僕は思う。
主人公補正を持った天才アイドルが頂点に立つだけの物語に178話も必要だろうか。
ただの中学生が契約して魔法少女になる話ですらたった12話で世界を救うのだ。
その10倍以上も何を語ることがあるというのか。
17話「ドッキドキ!スペシャルライブPART2」で星宮は憧れのトップアイドル神崎美月と共にライブを行う。天才ならばここで失敗などせず2人でユニットでも組んでいればいい終わりになったのではないだろうか。二人でトップアイドルユニットになりました、というのもいいエンディングだったのではないだろうか。
と、捻くれた主張を書き並べたものの勿論このアニメは17話では終わらない。
星宮いちごは結局17話では神崎美月に追い付くことができなかった。
失敗という壁と神崎の成長に結果としては差を広げられたのだ。
抜け殻のようになった彼女が涼川に話しかけられるシーンがある。
その際、突如生き生きとして彼女は語りだす。
「まだまだ足元にも及ばないけど、凄く努力しても追い付けないかもしれないけど、私もあんなふうになりたい。みんなに笑顔と夢を届けられるような本当のアイドルに。」
つまりアイカツ!は星宮がアイドル界の頂点に立つ物語ではなく本当のアイドルを目指す物語であり、残念ながら星宮は、神崎と比べるとだが、天才アイドルなどではなく努力型アイドルだったのだ。
僕の捻くれた主張は初めから意味を成していなかった。
このアニメが主人公星宮に求めているものは僕が想像していたものとそもそも違っていたのである。
さて、星宮にとっての本当のアイドルとは神崎美月、天才アイドルである。
これだけだと凡人が天才を上回る努力をして最後には勝つというよくある展開を予期させるが、残念ながら神崎美月はほかのどのアイドルよりも努力家である。
担当マネージャーの月影が「あれほどの特訓に耐え抜いたアイドルは見たことがない」と述べていることからもうかがえる。
つまり星宮は才能どころか努力の量ですら神崎を超えることができないということになる。
しかしこのストーリーは星宮が神崎に追い付くことでのみ一つの結末を迎えることができるのである。どうしても星宮は追い付かねばならない。
では一体星宮は何によって神崎に追い付いていくのか。
そこに斧や崖やシャチが出てくるのである。
神崎美月はあくまでもアイドルの天才である。
数学の天才でも語学の天才でもなく、アイドルの天才。
同様に星宮いちごはアイドルとしての才能で神崎に勝っているわけではないというだけであって、他の何かの天才なのかもしれない。
もはやここからは考察ではない。
星宮いちごは努力の天才なのではないだろうか。
神崎美月が天才ではない分野で才能によって彼女を上回る、これなら可能ではないか。
努力の天才とはまず第一に努力からの吸収率が挙げられる。
同じ努力をしていても他の人よりも上達が早い、ということである。
確かにこれなら神崎と同じ努力をしていればいつかは追い付けることになる。
実際星宮は編入試験のための努力だけでスペシャルアピールを出せる段階にまで成長している。もっともこれは星宮のアイドルとしての才能が神崎ではなくその他大勢のアイドルと比べた場合には秀でていたから、だとも勿論考えられるが。
第二に努力の方法である。
ここからが本記事において最も重要となる部分となる。
神崎はあくまでもアイドルとして想定されうる努力を最大限行っているに過ぎない。
つまり想定外の努力によってアイドルとしての伸びしろが表れた場合、神崎との差をそのまま縮めることができるのである。
神崎美月は斧で木を切り倒さないし、崖も登らず、勿論シャチにも乗っていない。
星宮は確実にこれらによって神崎との差を縮めていく。
とはいえ星宮のアイドルとしての天性の才能は、確かに神崎と比べると劣っているかもしれないが、その他大勢のアイドルと比べると天才の部類に入る。
96話においてジョニー別府もそう語っているので、星宮が天才だといわれていることに対して僕はそれを否定するつもりは全くない。
ここで述べたいのは星宮のアイドルとしての才能は神崎未満であること。
そして星宮は神崎がしていないことをして追い抜く、それだけの話である。
そろそろ煙草の話をしよう。
煙草というのは世界を広げてくれる一つのアイテムである。
喫煙所でしか聞けない話、喫煙所でしか作れない人脈。
喫煙者には非喫煙者の知らない世界が存在する。
煙草を吸うことで、吸ってなければ得られない経験を積むことができるのである。
やっている人とやってない人とで差がつく行為の一つなのである。
これを踏まえてアイカツ!のアイドルと煙草について述べていく。
ここで問題となってくるのは神崎ではなく勿論星宮のほうである。
神崎は完璧なアイドルになりたい。
起きている間はずっと、たとえ誰も見ていないところであっても彼女は完璧なアイドルであり続けようとする。
煙草はアイドルとしてのイメージを壊してしまうばかりかそもそも日本では法に触れるのである。
そんな行為をたとえ誰からも見られないとしても彼女がするとは考えられない。
完璧主義者の彼女がタバコを吸うことはないだろう。
さて、確かに星宮は神崎のようなアイドルを目指している。
しかしこの場合の神崎のようなアイドルとは結果を指しているのであってその過程ではない。先程述べた通り星宮は神崎と同じことをして追いかけていくわけではないからだ。
アイドルとしては想定外の行動こそが彼女の最大の糧となり成長の過程を作り上げているとするならば
斧・崖・シャチに煙草が加わっても全く違和感はない。
作中で星宮のすべてが語られているわけではない。
煙草の一本くらい語られていないうちの僅か数分で吸うことは可能だ。
プロデューサーでもカメラマンでも誰でもいい。
喫煙所での会話は彼女の力になる。
星宮いちごは喫煙者になる。
少なくとも僕の中では。
我ながら読み返す気の起こらない怪文書になった。
もしここまで読み切った方がいたら称賛と感謝の拍手を送りたい。